投稿者: ODEN

  • メルマガ春号を発行しました

    ODENでは、日頃から電気をご利用くださっている皆さまや、活動を応援してくださっている皆さまへ、最近の取り組みや地域の情報をお伝えするニュースレターを発行しています。

    今回は、2026年4月にお届けしたニュースレターをブログでもご紹介します。

    ※イベントの日程や制度の内容などは、ニュースレター発行時点の情報です。

    ーーーーー

    皆さま、こんにちは。
    日に日に草木の勢いが増し、新緑が色濃くなるこの頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

    日頃より、ODENを通じてグリーン・ピープルズ・パワーの電気をご利用いただき、また小川地域電力プロジェクトを応援してくださり、ありがとうございます。

    ODENでは、皆さまとのコミュニケーションをより大切にしていきたいと思い、ニュースレターをお届けすることにいたしました。
    最近の活動やイベント情報、電気の切り替えに関するお知らせ、地域のグッドニュースなどをお届けしていきます。

    どうぞ気軽にお読みいただけたらうれしいです。


    内容

    1. ODEN最近の活動報告
       ・三河の山里コミュニティパワー視察
       ・第4回「でんがく」開催報告
       ・橋本拓さんの声が記事で紹介されました
    2. ODENが紹介するグッドニュース「おでんのgood!(グー)」
       ・夏を心地よく過ごすために…窓断熱リフォーム補助金のお知らせ
    3. Book Cafe Nahal 店主・窪田さんのおすすめ書籍紹介
    4. 今後のイベント情報
       ・WINE WEEK 2026
       ・キラナ音楽祭
    5. ODEN × ほっとライフキャンペーンのお知らせ
    6. 電気の切り替え・ご利用に関するご案内
       ・電気の切り替えについて
       ・停電のときは?
    7. 地域電力プロジェクト進捗状況
    8. 編集後記

    1.ODEN最近の活動報告

    1)地域のことは、地域の支え合いで解決する

    地域電力を通じた「新しい力の合わせ方」

    3月5日〜6日 三河の山里コミュニティパワーを訪問しました

    3月上旬、有志メンバーで愛知県豊橋市の中山間地域にある地域電力会社「三河の山里コミュニティパワー」、通称「MYパワー」さんへ視察に伺いました。

    MYパワーさんは、電気の売り上げの一部を地域へ寄付し、地域課題の解決につなげる仕組みを実践している地域電力会社です。

    ODENが目指している地域電力会社の設立に向けて、MYパワーのキーパーソンの方々から直接お話を伺ったり、実際の業務風景を見学させていただいたりしました。

    また、地域自治組織や、障がいのある方の作業所を兼ねたキャンプ場施設など、寄付を活用した関連施設にも訪問。
    地域における小売電気事業の多様な可能性を、肌で感じる時間となりました。

    視察をお引き受けくださったMYパワーの皆さま、本当にありがとうございました。

    詳しい視察の様子は、ぜひODENブログをご覧ください。
    ODENブログ:https://x.gd/FypJU

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    2) 農 × エネルギーの可能性に触れる〜第4回「でんがく」を開催しました

    “電気について楽しく学ぶ”ODENの学び場「でんがく」。
    3/14、今年最初の開催では、ゲストにときがわ町の有機農家・橋本拓さんと、神奈川県足柄エリアで脱炭素とまちづくりに携わる長谷川諒さんをお迎えしました。

    今回のテーマは、農とエネルギー、そして地域の関わりについて。

    特に、農地の上に太陽光パネルを設置し、太陽光の恵みを発電と畑で分かち合う「ソーラーシェアリング」については、会場からたくさんの質問が寄せられました。

    〜ご感想の一部〜

    「ソーラーシェアリングのイメージが変わった。」

    「若い方が気候変動の課題に対して、困難さを把握しながらも、とても真摯に向き合って解決に向けて努力していることに深く感心しました。」

    「こういった会を地道に積み重ねていって、実践につなげ、ネットワークを広げていくことが、地球に優しい循環型の社会づくりにつながっていくと思います。」

    お忙しい中ご参加くださった皆さま、そしてゲストの橋本さん、長谷川さん、本当にありがとうございました。

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    次回のでんがくは、6月14日(土)開催です。
    ゲストに、ペシャワール会理事の石橋忠明さんをお迎えして
    「奪い合わない世界を目指して〜ペシャワール会の経験から」 というテーマで対談を行う予定です。

    米国・イスラエルによるイラン攻撃をきっかけにした原油価格高騰やナフサ不足。
    海外から輸入する石油に頼る私たちの暮らし、これでいいのでしょうか。

    長年 戦火にさらされた、イランの隣国アフガニスタンで
    医師・中村哲さんらは、地域の資源や住民の力を活かして水路をつくり
    生きるのに必要な水をまかなう手助けをしてきました。

    中村さんと共に働いた 小川町在住の石橋忠明さんのお話を伺い
    人々の支え合いと地域自給が平和な世界の実現にどうつながるのかを考えます。

    会場:エコデザイン株式会社・青山エコファクトリー
    〒355-0324 埼玉県比企郡小川町青山926-1
    参加費無料・子連れ参加歓迎・飲食持ち込み可
    6 / 1 3 ( 土 ) 1 0 : 0 0 〜 1 1 : 3 0
    申し込み→https://forms.gle/nKT1bxfipHucs2Jt6


    橋本拓さんの声が記事で紹介されました

    でんがくにゲスト登壇してくださった橋本拓さんは、農業のかたわら「気候正義訴訟」にも参加されています。

    このたび、気候正義訴訟の二次提訴が行われ、取材記事の中で橋本さんの声も紹介されています。
    よろしければ、こちらの記事もあわせてお読みください。

    PR TIMES
    「国内初、気候変動で国を提訴。著名人やアーティストなども支援する『気候正義訴訟』450名超が追加で訴訟、合計906名が原告となる二次提訴を実施」
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000174010.html

    東京新聞
    「国に本気を求めるからこそ『気候正義訴訟』で問う 地球温暖化による異変は次々に…増える原告、世界も動く」
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/479778


    2.ODENが紹介するグッドニュース「おでんのgood!(グー)」

    ・夏を心地よく過ごすために…窓断熱リフォーム補助金のお知らせ

    今年の夏も、暑くなりそうですね。

    エアコンは必要だけれど、電気代のことを思うと少し気がかり……。
    そんな方に、うれしいお知らせです。

    埼玉県では、住宅の窓やドアの断熱リフォームへの補助制度が始まります。

    国の「先進的窓リノベ2026事業」または「みらいエコ住宅2026事業」の交付決定を受けた工事が対象で、県の補助をあわせると、対象工事では補助額が工事費の最大9割となる仕組みです。

    うまく活用できれば、自己負担を1割程度まで抑えられる可能性もあります。

    申請は住宅所有者本人ではなく、工事を行ったリフォーム事業者が行います。
    受付は、令和8年5月中下旬ごろ開始予定で、先着順です。

    気になる方は、対応している施工事業者さんへ早めに相談してみてくださいね。

    参考ページ:
    埼玉県 窓断熱リフォーム支援事業
    https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/279322/madoreformhojoshinseitebiki080414.pdf

    先進的窓リノベ2026
    https://window-renovation2026.env.go.jp/

    住宅省エネ2026キャンペーン
    https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/


    3.Book Cafe Nahal 店主・窪田さんのおすすめ書籍紹介

    〜こちらのコーナーでは、Book Cafe Nahal店主・窪田さんによるおすすめの本を紹介します〜

    【「人新世の黙示録」斎藤幸平著(集英社シリーズ・コモン)】

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    「人新世の資本論」(2020)で注目された斎藤幸平の新著です。

    毎年の猛暑で気候変動の深刻さを実感しますが、世界で脱炭素化はなかなか進みません。そのため、生態系の存続も危ぶまれる「気候崩壊」が現実化し、災害や食糧不足がますます深刻化するといわれています。

    その対処策として前著では、経済成長の追求をやめ、水・電力・公共交通・土地などを私有せずコミュニティで管理・共同所有する「脱成長コミュニズム」が提案されていました(電力の地域自給をめざす「おでん」も、そうした方向の取り組みです)。

    しかし、もはやそれだけでは破滅を避けられない、と著者はいいます。このまま行けば、利潤追求を続ける巨大テック企業が政府と結び、社会の管理や監視、権限の集中を進める「テクノファシズム」が広がっていく。それは、格差の拡大と力による支配が横行し、選ばれた者たちだけが生きのびる、絶望的な未来なのだ、と。

    それに代わる道として著者が提案するのが、「暗黒社会主義」です。「暗黒」とは、資本主義の崩壊と、「未来は暗い」という絶望からの出発を意味します。そのうえで、民主的な計画経済で気候変動を止め、自由と民主主義を守りながら人類全体の「生存」を図ろう、と呼びかけるのです。

    中東での戦争で、石油に依存した暮らしをどこまで続けられるのか、不安を感じる昨今。人類が生きのびるためには、これまでの社会のあり方にしがみつくのではなく、大きな視点の転換が必要なのだと、改めて思わされる一冊です。

    窪田 栄一

    「おでん」メンバー。長年テレビ番組の制作に携わり、退職後の2024年、小川町に移住。これからの社会や生き方の手がかりとなる本に出会える場をつくりたいと、「BookCafe ナワール」(小川町角山)を開業。

    Instagram:@nahual.bookcafe


    4.今後のイベント情報

    1)武蔵ワイナリーのWINE WEEK 2026

    5月2日(土)〜5日(火・祝)
    10:00〜16:00

    会場:武蔵ワイナリー
    埼玉県比企郡小川町高谷104-1
    TEL:0493-81-6344

    入場無料
    ※大雨・荒天中止
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    ODENは、**5月3日(日)・4日(月・祝)**に出展予定です。

    Book Cafe Nahalさんとの共同出展で、コーヒーや米粉の焼き菓子、パンなどを出品予定です。

    当日は小川町駅前の店舗からシャトルバスの運行もあります。
    詳細は、武蔵ワイナリーさんのページをご確認ください。

    https://wineweek2026.peatix.com/view

    2)小川町内で映画「おだやかな革命」が上映されます。

    5月20日(水)
    会場:コワーキングロビー NESTo
    時間:18:30~
    料金:大人1000円/小中高生500円(ドリンク付き)
    申し込み:https://forms.gle/5T7LTzGh3A3UWnqn6
    主催:まちのTHEATHER 石蔵座


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    地域のエネルギー自治の現場を取材したドキュメンタリーの上映会です。
    日本各地に、再生可能エネルギーを生かしたいろんな取り組みが芽吹いている!と勇気をもらえる映画です。
    ODEN主催のイベントではありませんが、まだご覧になったことのない方にも、また観たいと思っていた方にも、お知らせしたいと思いご紹介させてもらいました。

    (こちらの映画、実はODENのキックオフイベントで上映をした映画です。私たちもまた観られるのが楽しみです。)

    https://www.instagram.com/p/DXF_K79kpqE/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==


    3)キラナ音楽祭

    5月30日(土)
    会場:大塚八幡神社境内

    これまで小川町飯田地区の里山交流広場で行われていた恒例の音楽イベントが、今年は大塚八幡神社に会場を変えて開催されます。

    様々なジャンルの音楽ステージは見ごたえ抜群!
    こちらもBook Cafe Nahalさんとの共同出店になります。
    初夏の風を楽しみにぜひお出かけください♪

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    5.ODEN × ほっとライフキャンペーンが始まりました

    長年、小川町で高齢者の移送支援を行ってきたNPO「ほっとライフ」。

    スタッフの高齢化や資金難により事業継続が危ぶまれていましたが、昨年、町に対して支援を求める署名活動が行われ、町としても介護保険制度の活用などに向けて動き出すことが決まりました。

    地域の資源と経済を地域で循環させることで、人も自然も気持ちよく過ごし続けられる循環型社会を目指すODEN。
    私たちは、誰もが安心して地域で暮らし続けられるための取り組みを応援するために、 「ODEN × ほっとライフキャンペーン」を始めます。

    内容は、

    「ODENを通じた電気の切り替え1件につき、ほっとライフへ5,000円を寄付する」というものです。

    寄付の原資は、ODENの取り組み(売電を通して地域課題解決に取り組む)に賛同してくださった方からの寄付です。
    その方は小川町で個人で太陽光発電をしていて、その売り上げの一部を提供いただけることになりました。
    地域で作った電気の売り上げで地域の課題に取り組む循環をつくる第一歩となります。
    この機会に契約者数を増やすとともにほっとライフの支援も進めていきたいと考えています。

    ODENを通じた電気の切り替えにご関心をお持ちの方が周りにいらっしゃいましたら、ぜひこの機会にご紹介いただけますとうれしいです!


    6.電気の切り替え・ご利用に関するご案内

    電気の切り替えに必要な情報が揃っていれば、お手続き自体はWebから5分ほどで簡単に行えます。

    詳しい料金シミュレーションは、ODENのホームページからご確認いただけます。
    https://oden-ogawamachi.com/

    また、パソコンやメールアドレスをお持ちでない方には、ODENスタッフが個別でサポートすることもできます。お気軽にお問い合わせください。

    これまでにも、

    ・契約アンペアの変更はどうすればいいの?
    ・引っ越しの手続きは?

    といったお問い合わせをいただいています。

    電気のご利用中に困ったことや疑問がありましたら、いつでもご相談ください。


    停電のときは?

    ご家庭内の一部のみ停電している場合は、以下をご確認ください。

    ①ご使用中の電気製品のスイッチを切ってください。

    ②分電盤(ブレーカー)をご確認ください。

    ・従来のブレーカーの場合:スイッチが「切(OFF/緑)」になっている場合は、「入(ON/赤)」に戻してください。

    ・スイッチがない(自動復帰)タイプの場合:最近のご家庭では、ブレーカーが自動で復帰します。

    ただし、何度も電気がついたり消えたりすると漏電などの異常があると判断してロックがかかってしまいます。

    その場合は、今一度、電化製品のスイッチを確認した上で、東電パワーグリッドへロック解除の連絡をお願いします。


    〜東京電力パワーグリッド〜
    停電・電気設備に関するお問い合わせ:0120-995-007
    フリーダイヤルが使えない場合:03-6375-9803

    停電時の詳しい対応・チャット対応はこちら
    https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/for-general/trouble.html?utm_source=teiden-trouble


    ★分電盤の仕様はご家庭によって異なります。

    いざという時に備えて、事前にご自宅の分電盤の場所や操作方法をご確認いただくことをおすすめします。


    7.地域電力プロジェクト進捗状況

    現在の契約件数は、71件となりました。

    人の暮らしと自然が調和した、循環型社会を小川町から。

    これからも、電気の切り替えを通じた「地域電力プロジェクト“おでん”」を、どうぞよろしくお願いいたします!


    編集後記

    最後までお読みいただいて、ありがとうございます!
    ODENのニュースレター、いかがでしたでしょうか。
    これまで、「小川の電力」で「おでん」、
    「電気について楽しく学ぶ」で「でんがく」と、
    ユーモアのあるネーミングにこだわってきた私たちですが、
    このニュースレターにも、ぴったりの名前をつけられたらいいなと思っています。
    「こんな名前はどう?」というアイデアがありましたら、ぜひ教えてください!

    そして現在、ODENではチラシのリニューアルにも取り組んでいます。

    たくさんの方に手に取ってもらえるような、
    「電気の地産地消っていいね」「地域電力っておもしろいね」
    と思ってもらえるようなものを目指して、地域に住む建築家でありデザイナーでもある木谷くんの力を借りながら鋭意制作中です。

    新しいデザインのお披露目も、どうぞお楽しみに!(岩出智子)

    ODEN / 小川地域電力プロジェクト おでん 一同


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  • ODENメンバー豊田市MYパワー(三河の山里コミニュティパワー)活動視察報告

    三河の山里に学ぶ「地域自立」の歩み:MYパワー視察調査記録

     去る2026年3月5日から6日にかけてODENメンバーで愛知県豊田市足助(あすけ)地区にある「三河の山里コミニュティパワー」を訪ね、活動の現場を見学してきました。参加者は桜井薫、窪田栄一、岩出智子、空閑厚樹、山崎慶太の5名です。今回の調査旅行は電気自動車を使い環境負荷を抑えた旅を目指しました。片道6時間を超え、2回の30分の急速充電が必要で、体力的には厳しかったのですが、残った疲労は爽やかでした。

    私たちは今回の調査で、電力事業を「手段」として地域課題を自律的に解決する仕組みを調査しました。この記事では、関係者からうかがった話や公表されているデータ、および現地で私たちが見て感じたことをお伝えします。

    宿泊先のホテル百年草

    【DAY 1】いざ豊田市へ!夜の焼肉とキムチで核心に迫る

    初日は昼前に埼玉県小川町を出発し、夕方に愛知県豊田市足助町の「ホテル百年草」に到着しました。夜は足助町の街中にある焼肉店「桃屋」で、MYパワーの萩原善之専務、去年1月に入社した生田和也さんと会食しました。

     MYパワーの活動を詳しくお聞きする中で出てきた萩原専務の言葉に、私たちは衝撃を受けました。

    「私たちの真の目的は単なる電力供給ではありません。あえて儲からない地域に入り、住民に『自分たちのことは自分たちでやる』という意識を持ってもらうことが狙いです。」

    新電力事業は、地域課題を解決するための「手段」に過ぎないというのです。現在、行政やコミュニティが縮小し、サービスの空白地帯が生まれていますが、MYパワーはその空白を埋める「つなぎ役」として機能しています。

     MYパワーは、早川富博代表(足助病院院長(当時))と萩原専務の出会いから始まりました。萩原さんが講師をつとめる地域課題解決のための人材育成講座の公開講座に早川さんが聴衆として参加していて、講座終了後に二人は話し合う時間をもちました。そこで早川さんは自分が行っている地域医療についての取り組みについて萩原さんに語りましたが、そのすべてが補助金頼みだということを確認するに至りました。そこで、自立した安定的財源を得るために電力事業を興すことを萩原さんは提案しMYパワーがスタートしました。新電力として事業展開するには3億円の売上が必要なため、まずは豊田市や中部電力と協定を結んで市の施設へ電力を供給し、その後は市のごみセンター(渡刈クリーンセンター)の発電へと切り替えるという、事業モデルへ移行しました。

    萩原さんは「私たちは何者か(どこから来てどこへ行くのか)」という組織の根幹となる理念を文章化し、スタッフ全員で議論して再確認していると語ってくれました。なぜなら多様な事業を実施していくうちにスタッフ間で意見の相違が出てくることがあるからです。そして、考え方の違い、対立があるのは当たり前であり「みんな同じ」が一番怖い、ODENも事業を進めていく過程でメンバーそれぞれの思惑の違いが出てくると思うが、その時の優先順位の付け方や、合意形成がとても大事だと語ってくれました。

    もう一人、MYパワーからの参加者の生田さんは6年ほど前に足助町に移住してきました。前職は庭師をしたり、不動産の境界確定の仕事をしていたそうです。現在は主に電気の切り替え業務などを担当しています。また、地域に入って地域の課題解決のお手伝いをすることも仕事の一部であり、これはMYパワーの特徴だと思うと語ってくれました。地域のために役立ちたいという思いが現在の仕事に繋がっており、毎日が楽しく充実しているそうです。


    【DAY 2:午前】事務所訪問。営業と、NPO3.0という新しい形

    足助病院駐車場に設置されたソーラーカーポート。充電は無料で行える。

    ソーラーカーポートの概要と寄付者一覧。

     翌日は足助病院内にあるMYパワーの事務所を訪問し、早川富博代表、関原康成取締役、萩原専務、鈴木雄也さんから詳しい事業スキームを伺い、ソーラーカーポートの見学も行いました。

     MYパワーが発足したのは2019年です。当初は中電(中部電力)と共同して事業を始めました。豊田市から「どうしても中電と一緒にやってほしい」という条件が出されたからです。市としては、元々中電の電気を使っていたため、引き続き中電が関わる形であれば価格などが変わらないから市議会へも説明がしやすかった(他の電力だと説明ができない)という事情がありました。しかし、2021年頃の電力価格高騰などの影響で中電側も経営の限界を迎え、「降りたい」との申し出がありました。これを機に中電からの電力供給は終了し、MYパワーは豊田市の清掃工場など、別の調達先へ切り替えることになった経緯を改めてうかがいました。

     MYパワーは非営利の株式会社として運営されており、配当を行わない代わりに、供給した電力料金から「1円/1kWh」を地域に還元しています。 特筆すべきはその営業スタイルです。スタッフが直接「電気を切り替えて」と営業することはなく、地域のイベントに足しげく通い、課題解決を手伝いながら信頼関係を作ることに徹しています。そして実際に切り替えを推進するのは、理念に共感した地元のリーダーたちなのです。それでも切り替えてもらうのは大変だそうです。切り替えるよ、と言ってもらっても実際に切り替えてくれるのは半分くらいとのことです。電力会社の切り替えが地域課題の解決につながると分かっていても、それぞれの家庭でのお得感を満たすことがなければ切り替えにはなかなかつながらないのではないかと語ってくれました。

    お話を聞かせていただいた、MYパワーの皆さん。

     MYパワーの事業を通じて地域にどれだけ新たな価値がうみだされたかの調査を依頼したところ、5000万円から1億円に上ることがわかりました。しかし、お金だけでは換算できない価値があり、大切なことは課題解決に取り組んだ人のポテンシャルをどれだけ高められたかであると強調していました。

     現時点の従業員は17名。電気事業ではなくて「地域の課題解決に向けた地域との連携」が中心となっているので、人が足りない、実際忙しすぎるとの声があると率直に現状を語ってくれました。特定のスタッフへの負担集中を防ぐための「ティール組織」づくりやメンター制度の導入が急務となっているという、リアルな組織の悩みと解決に向けての試行錯誤も共有していただきました。

     萩原専務は、NPOのあり方を三段階に分けて説明してくれました。第一段階のボランティア頼みの「NPO1.0」や事務局が疲弊する第二段階の「NPO2.0」を終焉(オワコン)とし、多様な主体や行政・企業が協働する第三段階の「NPO3.0」の形を目指していると語っていました。実際、事業は電気にとどまらず、地元・足助高校への観光科新設の後押しや、空き家を活用した高校生向けシェアハウスの整備など、驚くほど多岐な団体が関わり事業を展開しています


    【DAY 2:午後】食とエネルギーとケア自給の最前線:「互いの森PARK」と「しきしまの家」

    「互いの森PARK」でのランチ。ジビエカレー。

    お昼は、MYパワーが福祉事業者を支援してオープンした「互いの森PARK」で昼食をとりました。「互いの森PARK」は、大自然の中でキャンプ、BBQ、サウナ、魚釣り、ジビエ料理などを楽しめるレジャースポットです。この施設の最大の特徴は、単なる観光施設ではなく「就労継続支援B型事業所」として機能している点です。発達障がいなどを持つ人々の働き場所として、釣り堀やキャンプ場の運営、しいたけ等の農作物づくりが行われており、「福祉を通じた地域の活性化」を実践する場となっています。

    キャンプ場に設置されたサウナ。周囲の水場には飛び込みOK。

    MYパワーは、「福祉で地域の活性化」を目指すこのプロジェクトに共感し、互いの森PARKを運営する福祉事業者の活動を支援しています。また、この支援関係の構築に伴い、地域の課題解決の資金源とするために大多賀集落の全世帯がMYパワーへの電力切り替えを実施しており、地域・福祉・新電力が一体となった連携モデルとなっています。私たちは、この近くで獲れたイノシシやシカを使った料理、ここで育てた魚料理を楽しみました。

    その後、旭地区敷島自治区へ移動し、地域活動の拠点である「しきしまの家」で後藤哲義代表と板倉小夜子副代表にお話を伺いました

      2009年に豊田市の「日本再発進!若者よ田舎をめざそうプロジェクト」を機に都市部出身の若者10名がこの自治区の空き家に移住し農業を始めたことが、その後の移住促進と地域活動拠点づくりの出発点になっています。このプロジェクト以降、自治区の定住促進部が空き家バンク登録などを進め、2010~2020年に40世帯98人の移住者を受け入れ、その流れの中で旧保育所を改修して地域の居場所・相談窓口として整備されたのが「しきしまの家」です。

    この大量の移住者の受け入れはマスコミに取り上げられましたが、取材を受けた当時の区長が今後の方針についての質問に応えられなかったという経験がありました。そこで地区住民で話し合いを重ね、10年後を見据えた「ビジョン」を作りました。これまでの人を増やすという視点を転換して、1.支え合い、2.農村景観を守る、3.運営組織の立ち上げ、という方針をつくりました。それらは、以下の活動に展開していきました。

    1.支え合い:広大なエリアでの無料ボランティア送迎が限界を迎えたため、地元タクシー会社を巻き込んだ有償の「公共ライドシェア」へ移行し実証実験を開始しました。

    2.農村景観を守る:都市部の消費者と連携する「自給家族」の仕組みを構築し、2025年には23農家で600俵のコメを出荷。農協とも価格を見ながら良好な関係を保っているとのことです。

    3.運営組織の立ち上げ:地域内外の人を巻き込む拠点として「しきしまの家」を運営。レストランの赤字を高齢者外出機会促進事業の収入で補填するなど、全体で収支を成り立たせています。

    「しきしまの家」事務局、後藤さん、板倉さん(右から2人目、3人目)と記念撮影。

     MYパワーへの電気の切り替えについては、初めの3年は何回も説明会を開いたが、あまり進まなかったそうです。中電から電気を仕入れているうちは、中電とどこが違うのという反応でした。切り替えれば自分たちの地区にお金が戻ってくる、地区の活動資金として使えると説明しても難しい。地区センターなど共有施設の切り替えは一定程度進むものの各家庭の電気を切り替えることに関しては、結構大変だったといいます。中電が手を引いて、豊田市の焼却施設からの電気にかわってから、反応が変わったそうです。

     また、マイパワー(新電力)は理念に共感してもらうことを重視しており、単なる電気代の「安売り(値下げ)」はしていません。さらに、電気の切り替え手続きは紙の書類を取り寄せて記入・押印するなど非常に面倒であるため、一般の家庭からすると「自分たちには直接的な得がない」と判断されがちでした。そこで「個人の損得」にアプローチする苦肉の策として食事券(「しきしまの家」のレストランでつかえる5000円の食事券)を配ることにした結果、切り替え件数が増えるという大きな効果がありました。


    【まとめ:ODENプロジェクトに向けて】

    今回の視察は、私たちのプロジェクトにとって計り知れない価値がありました。参加したメンバーの一言を紹介します。

    桜井

    「目的はあくまでも山間過疎地域の地域課題解決の仕組みづくりであり、新電力はその手段に過ぎない」という原則が、繰り返し、萩原氏の話に出てきた。その原則が、MYコミュニティパワーにかかわっている人のみんなから伝わってきた。

    例えば顧客獲得のやり方が面白い。

    スタッフは電気を切替えてくれとは言わずに、地域のイベントに足しげく通い、地域の問題点を引き出し、解決の手助けを行い、信頼関係を作ることに注力する。実際に営業するのは地域のリーダーが中心となる。3/6最後に訪問したしきしまの家のお二人の話でも、その点は確認できた。

    一方で萩原氏は、「理解しているのはまだ地域のリーダーレベルまでだ」という認識も持っている。

    しかし、ここまですそ野が広がってくれば、現在世界中で進んでいる「権力と富を集中させよう」とする動きと、「顔と顔の見える関係の中で自分たちの暮らしを作ろうと」いう地域自立の動きとの乖離が顕在化するのも遠くはないのではという印象を持った。

    ほかの人の足を引っ張らなければ勝ち残れない経済・社会の仕組みを、ともに支え合う仕組みに変えていこうとする人たちの広がりを感じられてとてもよかった。

    岩出

     地域電力の取り組みについて、実際の活動現場を見たり、具体的な取り組みを教えていただき、大変貴重な機会となりました。

    「地域電力はいい取り組みだから」と、一方的に電気の営業をするのではなく、地域の中に入って活動しながら信頼関係を築き、ニーズを探ることを大切にしているというお話が印象に残りました。ODENの活動の中でも、様々な人とのちょっとした対話を大切にしたいと思いました。

    また、ODENが小川町で展開していく上では、地域電力の理念や仕組みを理解していると同時に、一般の住民の方の感覚もよくわかっている、地域に根ざしたリーダー的存在の方たちを町内で見つけて、地域説明会を共同で開いてもらうのが良さそうだと思いました。

    サテライトオフィスのある足助病院ではソーラーカーポートがあり、無料で充電ができて感動しました。利用している人がいたので、頻繁に使用しているか、使い心地はどうか、こういう施設があることをどう思うか、などもう少しお話を聞いたらよかったと思いました。このように実際に再エネの恩恵を感じられるようなスペースがあると、エネルギーの地域供給について関心が広がるのではと思いました。

    MYパワーさんが地域で認知されるようになり、様々な地域プロジェクトが展開され、組織が大きくなってきた時の課題についても赤裸々にお話してくださりありがたかったです。ODENも改めて、私たちが目指すビジョンをメンバーで共有しながら、目の前の活動をひとつ一つ丁寧に積み重ねていきたいと思います。

    空閑

    萩原さんの「考え方の違い、対立があるのは当たり前であり「みんな同じ」が一番怖い」という言葉が印象に残っています。そしてこの違いや対立を事業推進にエネルギーにするには、自分たちがなぜこの事業を始めたのか、そして何を目指しているのか、についての率直な意見交換が必要だと感じました。

    「安売り(値下げ)」はせずに理念の共感をもとに事業展開をしている方針は重要だと思いました。価格の安さを強調すれば、常に価格競争に晒されることになるからです。そして、この理念の共感も言葉による説明と説得ではなく、課題と一緒に取り組む姿勢から育まれるものだということも学びました。さらにこのような理想を追いながらも食事券の発行により現状の課題に柔軟に対応していることも印象的でした。

    窪田

    2年前に伺った時に比べ、設楽町での新電力設立支援、稲武での小水力、高校との取り組み、公共ライドシェアなど、新たな取り組みがいろいろ進んでいて驚きました。

    印象的だったのは、立ち上げの立役者・萩原さんのビジョンと視点の深さ、本気さでした。現在の社会経済システムが行き詰まっていくことを見越して、その先のモデルケースをつくっていくという明確なビジョンを持ち、地域での食・エネ・ケアの自給(経済評論家・内橋克人さんの“FEC自給圏”ですね)と地域の互助や自治、自立をめざす。地域電力はそのためのインフラでしかないということです。そちらがメインだから、移送支援や教育など、電力と関係なさそうなことにもどんどん手を出していく。それを一般住民にまで理解してもらうのは簡単ではないけれど、少なくとも敷島地区ではリーダー格の人たちは問題意識や方向性を共有する「仲間」化していることが感じられ、すごいなと改めて思いました。

    やはり小川町(や周辺地域)においても、各地区ごとにODENに共感してくれる中心的な人たちをみつけていく(つくっていく)ことが大切で、そのためには具体的に地域や住民にどんなメリットがあるかを示していくことが必要だし、またODENのめざすビジョン・基本理念も、MYパワー同様に時間をかけて言語化しブラッシュアップしていくことが必要だと思いました。

    山﨑

     平成の大合併で、旧豊田市が現豊田市の面積の7割も占める上流部の山間部町村と合併したのは、旧豊田市域の洪水を避けるためだったそうです。大合併前の豪雨で、旧市域は洪水で大きな被害を受けたそうです。過疎化で上流部の山が放置されたため、山の保水力が失われてしまったからです。このように林業は木材生産だけではなく、災害を防ぎ、環境を守る役割を果たしていたのです。農業や水産業も同様です。一次産業の衰退は、食料や木材の自給率を下げるだけではく、国土の景観を破壊し、災害を増加させ、日本を益々危険な国土にしてしまいます。過疎化の問題の本質は、一次産業では生活していくだけの収入を得ることが難しいことです。奥三河の山の多くは、間伐されていないために、林内が暗く、下草が生えないことで土砂が流出してしまうことで益々山の保水力が失われて、洪水が起こります。シカの増加による林床植生の破壊が、それに輪をかけています。豊田市は山林の保全にも力を入れているようですが、山の整備はまだまだのようです。一次産業で食べていければ、それに従事したい若者はたくさんいるのに残念です。

    今回の見学で、改めて未来の小川町、そして日本のグランドデザインをどう描いていくか、皆さんと共有していく機会をたくさん設けていきたいと思いました。人口減少による社会の縮小は、必然です。移住促進、関係人口の増加によって、自治体どうしが人の奪い合いをしても問題解決にはなりません。過疎化を止めるには、若者が町外へ出て行かなくても済む町にすること、つまり、地方でもずっと住み続けることができる町にすることです。地域自治、食料やエネルギーの自給、一次産業の振興、環境保全、福祉・教育の充実、平和などをキーワードに新たな雇用を産み出すプロジェクトを作っていきましょう。ODENもそのひとつですね。

  • ODEN代表・松崎が立教大学で講義

    「誰のためのエネルギー?」原発・メガソーラーの共通点と、地域を温める「おでん」の挑戦

    去る2025年11月20日、立教大学でODEN代表・松崎がゲスト講師として講義を行いました。

    講義名は、『持続可能性の理論と実践』。全学部の学生が履修できる講義で、 1年生から4年生まで60名前後の学生が履修しています。
    この講義は、ODENメンバーであり立教大学コミュニティ福祉学部の教員でもある空閑(くが)が小川町在住の佐藤太さんと共同で企画した科目です。

    松崎はこの講義で、持続可能性実現のための実践のひとつとして、小川町でのODENの取り組みを紹介しました。

    「エネルギー問題」と聞くと、遠い国の話や難しい技術論に聞こえるかもしれません。
    しかし、今回の講義と学生たちのリアクションから見えてきたのは、
    これが「私たちの暮らしと意思決定」の結果そのものであるという事実でした。

    講義のハイライトと、鋭い質疑応答、そして学生たちの生の声をレポートします。

    1. 原発とメガソーラー:繰り返される「置き去り」の構造

    「平和利用」というプロパガンダと原発

    講義の前半で、松崎は日本のエネルギー政策の歴史を語りました。

    かつてヒロシマ・ナガサキの経験から「破壊」のイメージが強かった原子力。
    しかし、1950年代以降、「平和利用」という名目で原子力発電所の導入が進められました。
    高度経済成長を支えるため、あるいは過疎地域の振興策として、
    国策主導で建設が進みましたが、2011年の東日本大震災と事故により、
    「帰れない故郷」を生む悲劇をもたらしました。

    「クリーン」なはずの再エネが抱える矛盾

    震災後、「原発に代わる希望」として急拡大したのが太陽光発電(メガソーラー)でした。
    しかし、FIT(固定価格買取制度)による投資ブームは、新たな問題を引き起こしました。
    ODENが活動する埼玉県小川町の事例では、東京ドーム18個分もの山林を伐採するメガソーラー計画が浮上。
    「地元で使わない電気のために、なぜ地元の自然を壊すのか?」
    という疑問から、住民による反対運動が勃発しました。

    学生が見抜いた「共通点」

    グループディスカッションで、学生たちはこの2つの事例(原発とメガソーラー)に共通する問題点を鋭く指摘しました。

    地域不在の決定:

    「国や大企業の方針が先で、地域が後回しにされている」
    「地域の声がしっかり反映されていない」

    利益の流出:

    「リスクは地域が負うのに、利益(電気やお金)は都市部や外部企業に流れていく」

    目的の喪失:

    「誰のためのエネルギーかが見失われている」。

    多くの学生が、「クリーンと言われる再エネでも、進め方を間違えれば環境破壊や住民トラブルになる」という事実に衝撃を受けていました。

    2. 解決策は「おでん」? 地域を温めるエネルギー

    こうした「大規模・中央集権・外部依存」のエネルギー構造へのカウンターとして紹介されたのが、
    「小川地域電力プロジェクトおでん」です。

    「おでん」のレシピ(仕組み)

    ユニークな名前の由来は「がわまち(小川町)」「でんき(電気)」などを掛け合わせたものですが、その中身は真剣です。

    エネルギーの地産地消:

    地域で作った電気を地域で使う。

    経済の地域循環:

    地域外へ流出している年間32億円の電気代※を、地域内に留めることで経済を回す。
    (※地域エネルギー需給データベース、2020年
    https://energy-sustainability.jp/?code=113433

    顔の見える関係:

    「安ければいい」ではなく、環境やコミュニティに配慮した「顔の見える電気」を選ぶ。

    学生からは「ODENのネーミングセンスが刺さった」「親しみやすい」といった声や、
    「電気も地産地消することで、地域経済が循環するという発想が新鮮だった」という感想が多く寄せられました。

    3. 【深掘りQ&A】貧困と交付金、そして「めんどくさい人」になる勇気

    講義の中で特に議論が深まったのが、ある学生からの率直な質問でした。

    学生の質問:

    「貧しい自治体にとって、原発などの交付金は魅力的。
    リスクはあるかもしれないが、お金のために受け入れるのは仕方ない側面もあるのではないか?」

    この問いに対する講師陣の応答は、エネルギー問題の核心を突くものでした。

    • 「お金で償えない喪失」:

    交付金は一時的だが、事故が起きれば故郷には二度と帰れない。
    その苦しみはお金では補填できない。

    • 「格差を利用した構造」:

    もともと産業が乏しい地域や、歴史的に困難な背景を持つ地域が、
    その「弱さ」ゆえに危険な施設を押し付けられている構造があるのではないか。

    • 「めんどくさい人」の重要性:

    講義の担当教官でもある空閑は、
    「物分かりのいい人にならず、『なんか変だ』と思った時に声を上げる、
    『めんどくさい人』になることが、社会の暴走を止めるブレーキになる」
    と、語りました。

    このメッセージは多くの学生に響き、感想シートには
    「これからはあえて『めんどくさい人』になって意見を言おうと思う」
    という決意の言葉が並びました。

    4. 「話し合い」という高い壁を越えるために

    解決策として多くの学生が「住民との話し合い」を挙げましたが、
    松崎からは「話し合いをしましょうと言っても、人は集まらない」という厳しい現実も共有しました。

    これに対し、ある学生は感想で次のように自己分析しています。

    「日本には話し合いの文化がないという言葉にハッとした。
    自分も授業で意見を求められても、周りを気にして手を挙げられない。
    まずは身近な人との会話から始めたい」

    エネルギー問題の解決は、巨大な発電所を作ることではなく、
    実は「隣の人と本音で話す」「小さな違和感を言葉にする」という、
    私たちの日常のコミュニケーションを変えることから始まるのかもしれません。

    まとめ:小さくても確かな自立へ

    講義の最後、松崎は学生たちにこうエールを送りました。
    「やりたいことは全部やったらいい。時間がないのは言い訳で、1日10分でもやればいい」

    巨大なシステムに依存するのではなく、「小さくても確かな地域の自立」を目指すODENの取り組み。
    それは、私たち一人ひとりが自分の人生の主導権を取り戻すことと同義なのかもしれません。